京都猛烈拉麺日和~池田屋とぼく

この記事は KMC Advent Calendar 2017 の 12 日目の記事です。
昨日の記事は KMC-ID : polaris さんの記事「私の近況」でした。

 

はじめに

今日の記事を担当させていただきます、ぶ(KMC-ID : bu4)と申します。昨日に引き続きKMC1回生です。


いよいよ12月も中盤となり本格的に寒くなってまいりました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

ぼくは北の地方の出身なのですが、寒さにはめっぽう弱く、毎朝お布団から抜け出すことのできない日々が続いています。


そんな寒さを感じる今日この頃、つい温かいものを食べたくなってしまいますよね。それもおなかいっぱいに。食べるだけで活力が湧いてくるような、そんなものがついつい欲しくなってしまいます。


温かくて、おなかいっぱい、活力が湧く……そんなわがままにもクールに応えてくれる夢の食べ物があるのをご存じでしょうか?


そう、それは所謂『二郎系』です。

 

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プロローグ~二郎系とぼく

『二郎系』ーみなさんも、もしかすると一度は耳にしたことがある、いやもしかしたら口にしたことがあるかもしれません。


ぼくが初めて『二郎系』という言葉に出会ったのは、高校を卒業した頃のことでした。

初めて自分のスマートフォンを手に入れ、意気揚々とLINEを使って遊んでいるときのことです。「あなたにオススメのラーメン屋は?」という今になって考えると意味不明な占い(?)があり、受験も終わったばかりのヒマ人だったぼくはなんとなーく占われていました。


その結果でぼくは『二郎系』という言葉に出会いました。その時から「闘い」は始まっていたのかもしれません。

 

二郎系はその豪快な見た目に負けず劣らず、麺の量もさることながら、にんにく、野菜などトッピングの暴力性には常軌を逸した「何か」が感じられるでしょう。

それにしてもこの暴力麺、素直に完食できるような代物かという疑問もあるかと思います。


初めて二郎系の写真を見たとき、まず「これはラーメンである」と納得することはできませんでした。どう見ても、ただのもやしの山です。

しかし、聞く話によれば所謂「二郎系ラーメン店」には当然のように行列ができ、1~2時間待っている輩もいるとのことです。

 

二郎系の「何」が彼らをそこまで惹き寄せるのか…彼らは「何」を目指してあのもやしの山に喰らいつくのか……当時の自分には疑問でなりませんでした。

 

池田屋に行きませんか?

そんなある日のこと、大学に入って間もないころ

池田屋に行きませんか?」

某先輩に言われました。「池田屋」が何のお店かもわからなかったぼくはグーグル画像検索して、悟ります。


そう、「池田屋」は『二郎系』だったのです。


ぼくは答えを渋りました。確かに興味が無いことはない。しかしあの量、果たして食べきれるものか。好奇心と不安とのジレンマに悩まされていました。

 

でも、せっかく遠く地元を離れてまで大学に来たのだ、新しいことには「挑戦」していかなければならない。

 

謎の思考回路がはたらき「行きます」と威勢よく答えてしまいました。

 

そして「闘い」の火ぶたは切って落とされたのです。

 

ヤサイスクナメニンニクアブラマシ

歩くことおおよそ20分、ぼくと同回Pくん、そして先輩二人は池田屋に到着しました。


そして予想はしていたものの、行列。先輩方二人はなんということなく列に加わります。ある程度待ったら先輩方に続いて食券を購入。ぼくとPくんは「小」を注文しました。先輩方二人は「中」を注文。


ここで先輩から「注文の仕方はわかりますか?」と、これまた謎質問。


注文の仕方、と言われても、ついさっき食券を買ったばかりである。これを渡せばいいのでは、と思っていました。
ところがそうはいかないようです。ここで先輩の言っていたのは「コール」のことだったのです。

 

「コール」とは、簡単に言うとトッピングの多さを注文することです。
例えば、にんにくを多めにしたい、野菜は少なめにしたい、といった要望を伝えることができます。(その際には「増し」といった表現が多く使われます)
ただしお店側がそれを聞くときには「にんにくどうされますか?」というように聞かれるため初見にはわかりにくい、ということだそうです。

にんにくについてしか聞かれていないように思えますが、トッピングについて聞いているようです。

 

列は進みいざ入店。席について食券をカウンターに置くと、「にんにくどうされますか?」と順番に聞かれます。
先輩は、滑らかに
「ヤサイスクナメニンニクアブラマシ」
と呪文を唱えます。

 

これが、二郎系っ……!!と感動してしまいました。(ぼくはにんにく増しでした)


もしかすると、あの呪文をすらすらと唱えられるようになることに小さい憧れをあの頃から抱いていたのかもしれません。

 

出会い

「はい、ラーメン小お待たせしました!!」

 

どんっ!!

 

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うおっ!!暴力的!!!!バイオレンス!!!!!!


当時の率直な感想です。正直これを注文したことにやや後悔がありました。


これは果たして食べきることができるのだろうか?本当に挑戦するのか?
しかしここまで来て、実物が目の前に出されてしまったからにはもう避けられない。恐れつつも意を決してまずは上のもやしから討伐を始めました。

 

最初はテンポよく進みます。にんにくのパンチが突き刺さる。
もやしを崩し、ようやく麺が姿を現しました。なかなか特徴的な味。ずるずるとすすり続けます。はじめのうちはうまうまと味わって進んでいきました。


ところが、およそ3分の2を行ったところでしょうか。なんだか食べる感覚が急に変わってきたのです。
お腹が叫んでいるような、喉が麺を入れることを拒絶しているような。食べるスピードが急に落ちていきます。


これは、ムリなんじゃないか。そう思ったそんな時、「ごちそうさまでした」と自分が注文したものよりもさらに多い「中」を頼んだ先輩が一人、その闘いを終えたのです。
「向かいのセブンにいるから」先輩はそう告げて颯爽とお店を出ていきました。
もう一人の先輩も同じように「勝利」してお店を抜けていきます。

 

残ったぼくとPくん。もうムリなんじゃないかという思いが何回も何回も横切りました。
しかし、ここからは逃げられない*1。ぼくは闘い抜く!!そう決めたのです。
強い意志を持ち、再び麺を口に運び始めました。

 

どれだけの時が経ったでしょう。気が付くと今目の前にある丼にはスープしか入っていません。
終わるときはあっという間です。知らぬうちに自分も「勝利」していたのです。同じころにPくんも闘いを終えていました。


長いようで、短い闘いだった。闘いを終えたぼくたちは胸を張って

「ごちそうさまでした」

と残し、店を出ます。


さあ、向かおう。先輩たちの待つセブン-イレブンへーーーーー

 

池田屋は、『人生』

セブンイレブンにつくと先輩方はアイスを選んでいるところでした。池田屋の後のアイスは最高、とのことです。

ぼくたちは池田屋の初勝利を祝って先輩方からアイスを奢っていただきました(ありがとうございました)。
食べたガリガリ君は、にんにくとアブラのしみついた口を程よく中和し、闘いの後の傷を癒してくれました。


そんなとき、先輩が出し抜けに

 

池田屋は、『人生』だから。つらい、やめたい、もう逃げたいと思う時は必ず来る。
そんな闘いにも逃げずに最後まで諦めなかったから、このアイスはこんなにも美味しいんだ。」

 

このように言いました。

 

池田屋は、『人生』……。


先輩の言葉を胸にぼくたちはいつもの部室へと帰っていったのでした*2

 

それから

ぼくたちの「闘い」はまだ終わっていません。闘いを重ねることでぼくたちは強くなれます。
あれから、ぼくたちは「池田屋行きませんか?」と言われれば「今日は何でいこうか、野菜増しもいってみるかなぁ」ということを考え始めるほどに「戦士*3」となっていたのです。


初めて池田屋に行ったあの日からおよそ3か月、ぼくはついに「小」の壁を超えるときが来ます。「ラーメン中」を注文したのです。
「中」の威力は「小」のそれよりも想像以上に大きく、簡単には撃破することができません。
しかし、これまでの闘いでのぼくの成長もそこまで小さいものではありません。初めての「中」も無事勝利をおさめることができました。
一度「中」に勝利したぼくは味をしめ、それから討伐対象を本格的に「中」へと移します。

 

そんなある日、ぼくは「中全増し*4」を注文します。
その「中全増し」に2回目の勝利をおさめた時のことでした。ぼくの頭に「大」という漢字が浮かんできたのです。

 

池田屋の「大」ーーー初めて池田屋に行ったあの頃では想像もできなかった領域。今の自分で敵うものなのか?何度となく自問自答を繰り返します。

 

そして、覚悟を決めたぼくは池田屋に行き、食券を買います。黄緑色の札、「ラーメン大」を注文した証です。

 

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避けられない闘い

今となっては慣れた振る舞いで店に入り、そつなくコールを済ませます。
頼んだのはにんにく増し、初めて池田屋に行った時と同じコールです。


その日、共に行ったのは初めて行ったときの先輩のうち一人と、ぼくと共に鍛錬を経て立派な戦士へ成長を遂げたPくんです。この時にはPくんも「大」を注文しています。

 

「お待たせしました、ラーメン大です」

 

ラーメン『大』、その言葉が重く心にのしかかる。ついにここまで来た。

 

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現れたそれは今まで自分が知っていた池田屋とは違う。実際、丼の大きさが「小」や「中」のものとは全然違っていました。


いざ、尋常に、参る。

いつも通りもやしから攻めます。あまりもやしをスープにつけるともやしがスープを吸ってしまい、討伐がより困難となる。ささっと片づけてしまおう。
自分の好みで、にんにくはやさいと一緒に少し食べて、あとはスープに溶かします。ここまでいつも通りの手順。
今までのように野菜の山を越え、麺へと攻撃を開始します。ここまでは順調……

 

ここで違和感を覚える。

 

麺が、なくならない。

 

いつもならもうそろそろ麺がなくなり、残った肉片や野菜をちびちびと食べる段階へと移るはずなのに、まだ麺が残っている。


これが「大」の耐久力……!完全に不意をつかれました。

 

「まだ闘えるか?」
「もう少しだ、耐えろ!」

 

長らく忘れかけていた、あの頃の、初めての闘いの記憶が戻ってきます。

 

池田屋は、『人生』だから」

 

先輩の遺した言葉が聞こえてきました。ぼくは目を見開き、ラストスパートを駆けます。
まだいける、まだいける。お腹もそう言っているようです*5


そして、

 

ーーー完食

 

ぼくたちは「勝利」した。

 

達成感、満腹感を抱き、感謝の念を込め、この言葉を残して店を後にしました。

 

「ごちそうさまでした」

 

エピローグ~勝利のその先へ

ぱんぱんになったお腹を抱え、いつものセブンイレブンに向かいます。先輩はそこで先に待っているはずです。
今日はどのアイスにしようか、と考えていたとき現れたのは

「『優勝』、しちゃいますか?」

という誘いでした。

 

『優勝』、それは『勝利』の先にある漢達の目指す処。

 

そう、今日はついにあの「大」を討伐することに成功したのだ。
ここで『優勝』しなくてどうするというのだ。

 

勢いよく扉を開けサッポロ黒ラベルを手に取り、レジへと向かう。
その後ろ姿はまさしく闘いを終えた「戦士」そのもの、『勝利』のその先にある『優勝』へと歩き出す漢の姿だった……。

 

しかし漢達の闘いはまだ終わらない。彼らはその命燃える限り、挑戦を止めないのである……。

 

おわりに

長文でしたが、ここまでよくわからないポエムを読んでくださりありがとうございました。
京都には池田屋だけでなく他にもいろいろな「二郎系」があり、どこも絶品ものです。
機会があれば、あなたも闘ってみてはいかがでしょうか?

 

KMC Advent Calendar 2017 の明日の記事は opesan さんの「聖地巡礼記2017」の記事の予定です。

 

また、KMCでは「KMCお絵描き Advent Calender 2017」もやっています。是非こちらもご覧になってください。

 

ちなみに本日12/12(火)のお絵描きカレンダー担当は本文中に登場した戦士Pくんです。

ぼくは12/21(木)にお絵描きカレンダーを担当する予定なので、そちらも楽しんでいただければ幸いです。

 

リンク

adventar.org

adventar.org

 

それではみなさん、これからも寒い日が続きますが体調管理にはお気を付けて冬を乗り越えていきましょう。

よいお年を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:無理はしないで、きつそうなら店員さんに断って途中退出しましょう

*2:二郎系行った後はすごいにおいがするので、そこら辺のエチケットはわきまえると、嫌われません

*3:ジロリアン」とも

*4:「全増し」とは「ヤサイニンニクアブラマシ」のことを指すことが多いです

*5:無理はしないで、(ry